[そういえば貴方様は何の神様なのでしょうか。]
『す~ごい今更だね君!そういうの聞くタイミングもっとあったでしょ!“邂逅"の時とかさぁ。ま、まあ別にいいんだけどさぁ……。僕が何の神様かだっけ?』
[さっきまでは自室に今会ったばかりの女性を連れ込むチャラ神だったのであまり貴方様に興味がなく……。]
『ぶっちゃけ過ぎじゃないかなぁ君!そして否定出来ないのがつらすぎる。気を取り直して自己紹介をしようじゃないか。【我は輪廻神アサナシア。我こそが滅びすべてを掌握せし不滅の王にして、生命の核たる魂魄を導く者。定命の者たちを悠久の昔より見守り、その終焉を見届ける者でもある。】どうだい?僕のこと見直したかい?滅王だよ滅王!かっこいいでしょ?』[ぶっちゃけ最後ので台無しですね。途中まで威厳たっぷりで神々しかったんですけど。]
『正式に名乗るに当たってこの肉体端末の格をちょっぴり上げたからね。さすがにあれを常時となるといろいろ影響出てきちゃうからすぐに戻したんだけど……。(友理ちゃんの魂ちょっぴり変異しちゃったかもしれないなぁ。でもまぁ彼女の転生は元々イレギュラー尽くしだし影響はさほど大きくはないはず。)うん、大丈夫そうだね。』
[それで魂の管理とかいう仕事を大量に抱えてて休みなんてとれなさそうなアサナシア様が私みたいな一般人に何の御用で?]
『君は本来の手順で転生できないっぽいんだよね。』
[それはまた何故?]
『本来なら前世の魂の記憶を消してから転生先をランダムに決めて転生させるんだけど、君の魂に意思やら記憶やらがべったりこびりついてて全然落ちないんだよね……。』
[人の魂をカレーうどんのスープを跳ねさせちゃった白シャツみたいに言わないでくださいよ。]
例えツッコミが長ったらしい?だからお前は誰なんだよ!名前を言え名前を!
『言い得て妙だね。まさに魂の漂白作業なんだよ。落とせないこともないけど、転生はさせなきゃだから無理に汚れ落として魂が痛んじゃったら本末転倒なわけ。今慎重にやってるんよ、だからちょっと待ち中。まぁたぶん無理だし例外的に記憶持ちでの転生になるよ。』こいつ遂に人の記憶を汚れっつったぞ。
[前世の記憶を持って転生出来たから今世ではつよつよVTuberを目指す!ってことですね!]
『よく分かんないけどたぶんそんな感じ。君実は前世もそうなんだけど前前世、前前前世でもVTuberに憧れてたんだよね。だから君の魂にはVTuberの憧れが刻まれちゃってるんだよ。転生を繰り返しても同じ道を志した結果それが因果律にも影響出てるらしくて。まぁというわけで君の記憶は消せそうにないのでもうそのまま転生してもらいます!』
[は、はぁ……。]
『記憶があることで大変なこともあると思うけd……おkおkじゃあ諸々の準備よろしくね。』
こんなんでもって言ったら失礼だけど、まぁ出会ったからの言動を鑑みてもろて。一応は仕事してるのね。
『ゴホンッ、それじゃあ転生ガチャを引きに行こうか。せっかく記憶持ってくんだから自分でガチャしたいよね!』[ちょっと気になるので嬉しいです!ありがとうございます!]
『よし、じゃあしゅっぱーつ!』
『とりあえず……分身ってなに?』 ですよね。そこだよね、ツッコミするとしたらさ。何言ってんだこいつって自分でも思ったもん。「かくかくしかじかな感じでやっちゃおうかなって。」 やぁ、███ちゃんだ!わざわざ書くと長くなっちゃうから省略させてもらったぜ!過去の話のこと忘れちゃって"かくかくしかじか"ってなんだよ!って思った人は#78〜#80を読み返すよくわかるぞ!それじゃ!『いや、普通に事務所の人もライブに呼んでいいよ。なんなら他事務所の人も呼びたかったらこっちで調整しとくから。なんだよ、ソロライブになっちゃうから自分が増えようって。馬鹿じゃねえの?』 うちの部門の人たちの状態を知らんからそんなこと気軽に言えるんだー!やーいやーい!「しゃ、社長?」『いや、なんだと思ってたんだよ事務所のこといままで。そりゃやるよそれくらいの事は。まぁいいや、VTuber部門が出来たてほやほやでVTuberイベントの伝手なんてないだろうからV祭に参加してVTuberイベントの伝手をゲットする?いや、だからうちの事務所を舐めるなって。』 いやね?別にうちの事務所を舐めてるわけじゃないんよ。強いて言うならVTuber部門を舐めてる。しょーじき人手増えてる感じしないし、いっつも少ない人員でバタバタしてるしで無理言えないなって思ってる。「しゃ、社長!ならもう少しうちの部門の人手増やしてくださいよ。なんか最近スタッフの目がギラついてる気がして怖いんです。」『それはほんとにすまん。近いうちに調整する。』 だってよ皆!良かったな!これでたぶん休めるぞ!まぁ、私が持ち込んだやりたいことリストのせいですぐ仕事増えて忙しくなると思うけどね!てへぺろっ!「できるんですか?しゃちょー!」『お前ほんとにうちの会社の規模舐めすぎだから。それくらい余裕だって。話戻るけどさ、箱外のVTuber仲間を作るのはいいと思うからV祭はしっかり楽しんでこいよ。スケジュールの調整もしとくからさ、無理したらマジでぶっ飛ばすからね?君の家族を事務所に呼び出して君の休まなさ具合を説明して強制的に休ませるから。ちゃんと休むこと、いいね?』「しゃ、社長!?」
「と、いうのを考えてる感じですね。」『いろいろ言いたいことはあるんだが、まず一つ言わせてくれ。多すぎだバカ。少しは絞るか優先順位を決めろ。』 ぐうの音も出なさすぎて辛いンゴ。もう少し手心を加えてクレメンス。いや、ダメだ!これを表に出したらぶっ飛ばされる。鎮まれ!鎮まるのだ内なるスレ民よ!ふぅ……よし!「で、でも……全部同じくらいやりたいんですよぉ……」『はぁ……お前、さてはバカだな?』 は?なんだコイツくそ失礼やんけ。いくら社長とはいえこればっかりは許せねぇよ。「バカってなんですかバカって!」 俺の右手が火を吹くぜ?シュッシュッシュッ!『バカはバカだよバカ。何をやりたいのかはわかった。どういうプランを立てて今それにどう向けて動いているのかもわかった。その上でもう一度言おう。お前は大馬鹿者だ。バーカバーカバーカ!』 あぁやっぱり私ってバカなのかもしんねぇ……「私、そんなボロカスに言われるほどのことはしてないですよ!さすがに酷すぎます!社長に虐められたって泣き叫びますよ?ギャン泣きしてる幼児とその近くにいる大人。周りはどういうふうに受け取りますかね。」『ちょっ!お前それはほんとにやめろ。表に出たら会社が終わる!』「ちぇーわかりましたよ……」『じゃあ気を取り直して、お馬鹿ポイントその1。やりたいことが複数あって、優先順位決められないから全部同時にやっちゃおう!っていう思考回路。10個もあるし全部を同時にってのはさすがに多すぎるかもなって気付けねぇのかお前はよぉ!』「気付いてるに決まってるじゃないですか!だから自分でやれる部分と無理な部分を分けて事務所にぶん投げようとしてるんじゃないですか!言うのが遅くはなってますけども。」『お馬鹿ポイントその2。自分の年齢を忘れてること。お前くらいのガキはなぁ、寝るのが仕事なんだよ!それでもお前がアレやりたいコレやりたいって言うからどうにかこうにか調整して無理なくやれるようにしてるんだよ。そ・れ・を!俺らの見てないところで勝手に仕事作ってコソコソ寝ないで作業しやがって!ほんとお前なぁ!休めっつってんだろうがよぉ!』「いや、無視かよ。休んでますよ!てか休まないでいられると思います?こちとらちびっ子ボデーで強制睡眠ですよ?そのせいで作業時間が足りない足りない……」 ほんとに足りない。この身体じゃ眠気に抗えな
"ブーーブーーブーーブーー" ん?なんかまた電話かかってきたな。ん?社長からじゃん。どしたんだろ……「社長〜どうしたんですか〜?」『いやおい!電話切るなよ。何を裏でコソコソ計画してるのかを話せって言っただろ?逃げるんじゃあない!』 あぁぁぁぁぁぁ!!や〜べっ!完っ全に忘れてた!そういやそのための電話だったじゃん!そりゃあ怒られますわ。だって客観的に見たら私、言いたくなくて逃げたやつだもん。「あ!いや〜なんか忘れてるなぁとは思ってたんですよ。その何かが思い出せなかっただけで……」 頼むしゃっちょ!ほんとなんだって!見てよこの曇りなき眼を!あ、これ通話だから見えないんだったわ。『そうかそうか……その引っ掛かりを無視して電話切って今があると。なるほどなるほど、いや忘れんなよ。それが本題だぞ?私はそれを聞き出すために君に電話をかけたんだ。それを何勝手に電話切ってんだよ休暇取らすぞ。』 恫喝だ恫喝!パワハラだパワハラだー!いや待てよ?いつまで経っても休まないやつに休めと強く言うのはパワハラなのか?うーん……どうなんだろう。労基になんて言えばいいの?休みたくないのに休暇取れって言われましたって?ダメだ!まともに取り合ってくれる気がしない!「ひぇっ!す、すいませんでした!以後気を付けます!」 くっ……ここは屈するしかないのか!だけど覚えとけよ!必ずどこかでやり返してやるからな!不意打ち名指しASMRとかで尊死させてやんよ!フハハハッ!『で?さっさと企んでることゲロって楽になっちまえよ。』 いや、ゲロるとかヤのつく人かよ……「なんでそんなの今日口悪いんですか?元々次事務所行った時に言うつもりではあったので普通に言いますけども。」
"ブーーブーーブーーブーー"「ん?あぁ電話だ誰からだろ……って社長!?え?私なんかしたっけ?いやでも配信事故なんてまだやらかしてないし……まさか炎上!?でも心当たりないし。いやでも悪い話とは限らないし、とりあえず出るかぁ……」"ブーー……"「はい、神崎由良です。」『やぁやぁやぁ、由良さんこんにちは。私はピオーネ社長の葡萄拓実です。いつも配信見てますよ〜?いや〜安心しましたよ。」 あれ?私の勘が正しければなんだけど……もしかして社長怒ってます?「いや、すいませんなんだか心配かけちゃった見たいで……」『いやね?中々電話に出ていただけないのでこのまま居留守使われちゃうかな〜って心配していたんですよ。実は心配ごとは他にもいくつかありましてね。それじゃあ……何を裏でコソコソ計画してるのかをぜーんぶここで話してもらいましょうか?』 うーわっ完っ全に怒ってらぁ。しかも夜遅く家に帰って来た時に心配したのよ!って叱られる時のあれだ!ていうかなんでバレた?どこからだ?今度事務所行った時に直接言おうと思ってマネちゃんにもまだ言ってないのに。とりあえず一回知らん顔しとこ。「ちょ〜っと何の話かよくわかんないっすね。」『いやいやいや、誰にでもわかるような簡単な話ですよ。最近、作業量……増やしてますよね?見たら分かるんですよ。忙しそうにしてるのも。疲れ溜め込んで本調子じゃなさそうなのも。君の初配信の時のもそうだけどさ、バレてるからね?』 はい、その節は誠に申し訳ございませんでした。「あの……そういうのって普通マネージャーとかから言われません?」『普通?そんなの関係ありませんよ。この会社じゃ私がトップなんですから。もちろん裏でマネージャーとこの件について軽く話しましたよ。そしたら彼女は私から言われ前に自分が真っ先に気付いて止めるべきだったと言ってました。私の話が終われば彼女からも話があると思います。』 え?私、この後もう一回怒られるの?いや、マネちゃんならきっと怒らない。怒らずなたぶん泣かれる。正直そっちの方が私的に効く。前世の年齢込みだと孫くらいの年齢の子に泣かれるのめっちゃ効く。「じゃ、じゃあ私はなんで社長直々にお説教されてるんです?マネちゃんからだけでいいじゃないですか。」『それは私が由良さんをこの事務所に誘ったからです。私の誘いでうちの事務所に所属した由良
「血迷ってないよ?あれしようかなって!色んな声出せる人……いわゆる多声類さんがショート動画で一人合唱してるやつ。それをね、VTuberとしての名義を分けてやってみようかなって思ってるんよ。」「それはさすがに転生のようで転生じゃない。なんというかその……イロモノ枠過ぎない?」「……そ、それはちょっと否定できないね。でもさ、問題点と言えばそのくらいじゃない?」「ちょ〜っといいかな、個人VTuberさん呼んじゃダメなの?」「クリエイターが名義分けるのなんてありふれてるしね。ライブでハモるのは無理だけど、パート分けすれば数人で歌ってる風にできるしね。ハモリたければ動画でやればいいし。割と完璧では?」「あの〜もしも〜し!」「ん?どしたの?」「普通に個人勢さん呼んでやれば良くないかなって。ていうかVTuber夏祭りとかに応募すればいいじゃないですか。なんでそんなよく分からない方向に突っ走るんです?」「あぁ……なんで初手で主催者想定だったんだろ。タレントが一人でVTuberの事務所としては弱小も弱小なのに。」「んじゃ、とりあえずV祭に応募するってことで〜。伝手もそこで手に入れよう!最悪時間さえ稼げば事務所がなんとかするでしょう!そんじゃかいさーん!」「「「「「「ういーっす。」」」」」」「なんか増えてね?」
「これについて考える上での大前提として共有したいのがさ、うちの事務所ってVTuberメインの事務所じゃないのよ。部門はあるけど、現状私専用の箱と化してる現状なわけよ。」「というと?」「わかんない?つまりさ、VTuberとしての後輩が事務所に入ってこない限り必然的にソロライブになるってこと。」「でも普通に先輩方と一緒にライブすればよくない?」「見たことあるでしょ?そういうことやってVTuberと主催が燃えてるの。今の世間の認識じゃまだ難しいんよ。活動の中手間知り合った個人VTuberさんを呼ぶ方がまだ現実的かなぁ……。」「いやいやいや、そうじゃなくてね?別にVTuberとしてじゃなくて、生身で一緒にライブすりゃいいじゃん!顔は……完熟マンゴーの箱で隠せば?ほら!某ガールズバンドアニメリスペクトで!」「たしかに芸能事務所だしね、うちって。芸能事務所に所属してる顔出しナシの配信者一人が顔を出したところでとやかく言われる筋合いないしね。それに私可愛いし!V体もまんま私だし!うん、コスプレで出ようライブ!フハハハッ!私こそが事務所公式コスプレイヤーだー!」「中の人が公式コスプレイヤーとか強すぎる。でもまぁ、これで解決かな?」「いやダメだ!解決してない!VTuberとしてもライブしたい!」「欲張り言うな!それは私たちが境目をぶち壊していけばそのうち行けるって!そうだなぁ……あの人ってVTuberだったの?って言われるくらいになれば許されるよ!」「あの……それは果たしてVTuberと言えるんですかね。」「有名人がVTuberになったよくらいのノリじゃないですかー!最近よくあるノリじゃん!違うんだって!そういうのじゃないの!」「欲張りでこだわり強いやっちゃのぉ……じゃあ後輩を錬成する?でも人体錬成はコストがなぁ……。てか真面目な話、現状うちの部門にスタッフ全然いないからたぶん無理だよ?」「そ、そうだ!私が増えればいいんだ!」「何言ってんだこいつ血迷ったか……」